アフリカには多くの自然保護地域があります。その中でタンザニアサファリの特徴は何でしょうか。タンザニアに行くとどんな景色が見られるのか、ご紹介します。
ありのままの自然
ひとつに保全意識が高いことが挙げられます。観光ビジネスの発展よりも、野生動物の保全が長年優先されてきました。コロナ禍以降は、その傾向が縮小している印象はあります。しかしながら、まだまだサファリの制約が多いです。
オフロード禁止。ドローン禁止。公園に舗装道路なし。
例えば、道を逸れて動物を追いかけることは禁止されています。また、ドローンの使用も原則禁止です。セレンゲティ国立公園は、キリマンジャロ空港から最も遠いところにあります。そのため、高速道路を建設して移動時間を短くしようという構想が持ち上がりました。しかし、反対意見多数で却下されました。
国立公園は火山地帯に点在
地形的な特徴は、火山が連なっている点です。アフリカ大陸最高峰キリマンジャロ山(5,895m)は有名です。その他、メルー山、オルドイニョ・レンガイ山、ンゴロンゴロ・クレーターなど。これらを取り囲むように、広大な地域が国立公園や自然保護区に指定されています。ンゴロンゴロ・クレーターは、約300万年前に起きた大噴火によって生まれました。ここには、約2万5000頭の動物が生息しています。標高2200m以上のクレーターの外輪山の周囲には、ジャングルが広がります。赤道直下とは思えないほど涼しく、夜間は肌寒く感じます。
ンゴロンゴロのクレーターの中と外輪山の頂上の高低差は約600m。急峻な外輪山を登る動物は、年老いたバッファローやミネラルを求めて山肌の土を食べるゾウなどわずか。2万頭のほとんどは、一生をクレーターの中で生きる。
太古の昔の大噴火が野生動物を育む
太古の昔ンゴロンゴロが大噴火して、大量の火山灰が吹き出しました。それが風で西に飛ばされ、セレンゲティ南部に降り積もりました。その土地には、今でも土に多くのミネラルが含まれています。このミネラルを豊富に含んだ草を求めてヌーの大群が毎春出産に訪れます。
ンドゥトゥとは、セレンゲティ国立公園の南部とンゴロンゴロ自然保護区の西部をまたがるエリアを指す。この地でヌーの大群が出産と子育てをする2月〜3月、世界中からサファリ愛好家が集まる。300万年前の大噴火が今でもヌーの命を育んでいるのは興味深い。
セレンゲティはなぜ広大な平原なのか
海の湿った空気を運ぶ雲は、標高2200mのンゴロンゴロの外輪山で遮られます。そのため、セレンゲティには雨が降りにくく、乾燥した大地となりました。このセレンゲティは言わずと知れた世界有数の野生動物自然保護地域です。多種多様な動物や生物が生息しており、サファリの一大拠点です。
マニャラ湖国立公園(2024年5月撮影)大雨期にかつてないほどの大雨が降り、遠浅のマニャラ湖がここまで拡大した。
大地溝帯(リフトバレー)とフラミンゴ
北タンザニアに点在する遠浅の塩湖も、火山活動により生まれました。これらの湖は、フラミンゴを始め多くの水鳥に住処を提供しています。最も有名な塩湖のひとつ、マニャラ湖は、大地溝帯(リフトバレー)の麓にあります。大地溝帯とは、アフリカ大陸を南北に走る大きな”溝”です。今でもこの溝は一年間に1cmというスピードで大陸を東西に分断しているそう。
太古の昔に起きたダイナミックな大陸の活動が、今でも動植物に影響を与えています。それらを一挙に見ることができるタンザニア北部。まさに地球の息遣いを感じられる場所と言えるでしょう。