セレンゲティ国立公園は、東アフリカ最大級の国立公園です。300万頭もの哺乳類が生息しています。そのうちの半分を占めるヌーの大群は、一年をかけて周回しています。それを追うようにして活動するライオンやチーターなどの肉食動物も見られます。この公園の魅力は、簡単には言い尽くせません。写真家、映像制作者、環境活動家、研究者など、あらゆるプロフェッショナルが集います。あなたはどの切り口からセレンゲティという聖域に入りますか?
セレンゲティの全体像
セレンゲティ国立公園は、1981年にユネスコの世界遺産(自然遺産)に指定されました。この地図は、ユネスコのウェブサイトからダウンロードすることができます(30MBありますので気をつけてください)。紙の地図はタンザニアの公園ゲートや書店などで購入することができます。
この地図には、セレンゲティ国立公園とンゴロンゴロ自然保全地域が描かれています。両者を合わせると、日本の四国以上の広さがあります。
この広大なサバンナを楽しむためには、少なくても2泊以上滞在が望ましいです。1泊では、移動のみとなってしまうでしょう。熱烈なサファリ愛好家は1週間〜1ヶ月間も滞在します。特定の動物を毎日観察すると、意外な発見があるようです。
ヌーの大移動
ヌーの大群は、一年をかけてこの地図に描かれた緑色の保全地域全体を一周します。移動スケジュールは、以下リンクで詳しく見ることができます。Herd Trackerは、ロッジ関係者などが大群の目撃情報を投稿するサイトです。リアルな最新情報を見ることができます。本サイトの別の記事「サファリのベストシーズン」もご参照ください。
一般的なサファリツアーではセロネラでゲームドライブする
セレンゲティに2〜3泊する一般的なサファリツアーでは、セロネラと呼ばれるセレンゲティの中心とその周辺でゲームドライブをすることが多いです。セロネラには、水場が多いため、定住型の動物が多く見られます。多くの観光客がこのエリアに滞在するため、セスナの滑走路やビジターセンターというミニ博物館などが集まっています。
どのように連泊するか
セレンゲティで3泊以上する場合、どのように宿泊するのが望ましいのでしょうか。これは完全に好みによります。筆者は、複数の宿に宿泊する方が好みです。なぜなら、動物の移動状況が予約時点ではわからないからです。大群に近いところに宿泊した方が、猫科の動物も見やすくなります。また、ロッジでの滞在も楽しみたいので、複数のロッジを体験したいということもあります。
荷物を詰め直す手間やチェックイン、チェックアウトの時間がもったいない、移動しない方が特定の動物をフォローしやすいと考える方は、同じ宿に連泊がよいでしょう。
高級ロッジだと、3泊以上連泊することを条件とするところもあります。また、逆に支出を抑えたい場合は、公的な研究機関や公園管轄機関の所有する簡素な宿にシェフを連れて連泊する方法もあります。清潔感やおもてなしはロッジのように期待できませんが、アルーシャから同行してくれるシェフは腕がよく、申し分ない料理を提供してくれたり、洗濯もしてくれたりします。
動物とはどのくらい近いのか
自然のことなので、必ずそうなるとは言えませんが、近い時はとても近くなります。ゲームドライブ中は、ライオンがサファリカーのすぐ側を歩いて通ったり、日陰にして休んだりすることもあります。ゾウがサファリカーの中を覗き込んで匂いを嗅ごうとすることもあります。触ろうと思えば触れる距離です。しかし、実際にそのような状況になると、怖くて触ろうとは思えなくなるでしょう。
ロッジでは、テントの布一枚を挟んですぐ側でバッファローやゾウが草を喰んでいるのを感じることもあるかもしれません。草食動物と知っていても、これにはかなり恐怖を覚えます。オスライオンが近くを通ることもあります。このような体験をラッキーと言うか、アンラッキーと言うかは、人によります。どちらにしても、これがセレンゲティならではと言えるでしょう。少なくとも事故が起きないように、動物の気配がしたら、絶対に外には出ないこと。ロッジの敷地内を歩いていて、万が一、動物に遭遇してしまったら、急に動かず、ゆっくり後退りして、建物の中に戻ります。
反対に、ツアーの中では、まったく動物が現れない走行時間も必ず経験するでしょう。次々と動物が現れてくれると期待する人は、この空白の時間にがっかりするかもしれません。しかし、これが普通のことです。野生動物が生きていくためには広大な土地が必要なのです。
猫科の動物にはどのようにしたら会えるのか
セレンゲティに2泊すれば、ライオンにはかなり高い確率で会うことができます。チーターに会いたい場合は、セレンゲティの東側の平原で重点的にゲームドライブをします。チーターの瞬足が活かせるのは、薮や山ではなく、見通しのよい平地だからです。ヒョウに会いたい場合は、コピエと呼ばれる岩山やアカシアの木の枝を探します。ヒョウは生息数が少ないため、ガイドやレンジャーたちは大体ヒョウのテリトリーを把握しています。どうしてもヒョウが見たいという場合には、事前にガイドに伝えておきましょう。その他、カラカルやサーバルキャットなど珍しい猫科もセレンゲティに生息しています。