タンザニアへ旅行される方、短期滞在や出張される方へ。タンザニア人と仲良くなるコツをおさえて、健康的な人間関係を築きましょう。他の国でも同じような項目になるかと推測しますが、時間の感覚はおそらく他の地域より格段に違うだろうと思います。また、ストレスを嫌い、心の平安を重視する傾向も特徴的です。その2点を踏まえて参考にしていただければ幸いです。
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スワヒリ語で挨拶をする
タンザニアでは挨拶はとても重要な文化の一部です。「マンボ!(こんにちは)」や「ハバリ?(元気ですか?)」など、基本的なスワヒリ語の挨拶は、相手に敬意を示し、好印象を与える第一歩となります。地元の人々は「この人は私たちの文化を尊重している」と喜びと感謝を感じるでしょう。
挨拶は単なる言葉の交換ではなく、人間関係の基礎を築くための大切なプロセスです。例えば、握手を交わしながら「ンズーリ(良い感じです)」と返答したり、「ナフライ ククオナ(お会いできてうれしいです)」と言ったりすると、会話がより深まりやすくなります。
余談ですが、反対にスワヒリ語を一切使わずに接する外国人マネージャーもいました。管理者としての権威を守り、スタッフに規律と労働倫理を重んじさせるためだったのではないかと推測します。彼はインド生まれのインド人であり、街で最も人気のあるホテルの支配人でした。このスタイルは、タンザニアの人々とカジュアルに接するよりも難しく感じられるかもしれません。しかし、彼の仕事ぶりは見事で、お客様からは高い満足度を得ていました。旅行で短期的に滞在する場合はカジュアルに接してよいと思いますが、仕事をする場合はバランスが求められるのだと思います。
おしゃれな格好をする
タンザニアの人々は外見をとても重視します。旅行者であっても、おしゃれをしていると地元の人々から敬意を持たれるでしょう。
例えば、男性であれば、帽子やサングラスなどのアイテムが有効です。女性であれば、明るい色や原色系のサマードレスやスカートが好まれます。もし髪が長ければ、それだけでも憧れの目で見られます。また、若い世代はアメリカ文化に影響を受けています。そのため、ヒップホップ系ファッションも好印象を持たれます。
市場やお店では、伝統布「カンガ」や「キテンゲ」を購入することができます。これらを使って縫い子さんに服をオーダーしてみましょう(数日要するのでサファリの出発前に)。ローカルスタイルの服は、地元の人々に喜ばれるだけでなく、旅の思い出にもなります。
相手のおしゃれを褒める
タンザニアの人々は、自分のおしゃれや装いをとても大切にしています。特に民族衣装やアクセサリーは、アイデンティティや文化への誇りを表すものです。そうしたおしゃれを褒めることは、相手との距離を縮めるための効果的な方法です。
相手がおしゃれをしている時や、服が素敵だと思った時は、「ウメペンデーザ(その装い、素敵ですね!)」と言ってみましょう。「アサンテ(ありがとう)」と笑顔が返ってくることでしょう。
褒めることで得られるのは、単なる好感度アップだけではありません。褒め言葉に対して「ありがとう」だけでなく、その背景を話してくれることがあります。例えば、特別なイベントのために選んだ服や家族の伝統を語ってくれることもあり、そこから彼らの文化や価値観をより深く理解するきっかけになります。
悪口を言ったり、責めたりしない
タンザニアには、130もの異なる部族が共生しています。宗教も、キリスト教徒とイスラム教徒がほぼ同数です。これほどまでに異なるアイデンティティを持つ人々によって構成されているにもかかわらす、タンザニアは、アフリカの中でも比較的平和な国です。その理由のひとつに、調和や和やかな雰囲気を好む国民性があると考えられます。
そのため、否定的な発言や攻撃的な態度はなるべく避けましょう。例えば、「こうしたらもっと良くなると思います」というように、提案型のコミュニケーションは有効です。これにより、相手が防御的な態度を取ることなく、話し合いを進めることができます。
笑いや朗らかさを身にまとう
タンザニアの人々は、穏やかでリラックスした在り方や、心の平安を重視します。そのため、楽しい話題やエピソードを共有し、和やかな雰囲気を作りましょう。
ユーモアを交えた会話も有効です。タンザニアの人々は笑顔を大切にしており、明るく楽しいやり取りを喜びます。シンプルなジョークやポジティブな会話で、リラックスした雰囲気を保ちましょう。
正直でいる
タンザニアの人々は、率直で素直な性格が特徴です。そんな彼らと接していると、次第に自分も自然体でいることができるような気がしてきます。タンザニアの人々は、あなたが自分らしくいることを受け入れてくれます。
明るい人や元気な人は受け入れられやすいですが、タンザニアには、物静かで落ち着いた人やシャイで真面目な人も多いです。もしあなたがそのような性格であれば、無理して繕わなくても大丈夫です。相手はあなたの様子を伺って先回りした気遣いを見せるようなことはあまりないかもしれませんが、あなたも相手の顔色を伺ったり、気を遣いすぎたりしなくてもいいのです。
相手が遅れて来ても怒らない
タンザニアでは、時間に対する感覚が非常におおらかです。「ポレポレ(ゆっくり、のんびり)」という言葉が日常会話で頻繁に使われるように、慌てないことがこの国の文化に根付いています。そのため、観光業に携わっていない人であれば、約束を破ったり、1時間以上遅れて到着したりすることは珍しくありません。このような状況で怒ると、かえって物事を滞らせる要因になります。
大切なのは、そうした遅れや変更を「当然のこと」と捉える心構えです。タンザニアでは、時間の厳守よりも、状況の流れや自分の気持ちを重視する傾向にあります。許せる範囲であれば、「長い間待っていたけれど、会えてうれしいよ!」といったポジティブな言葉で迎えましょう。笑える皮肉が言えれば上級者です。
とはいえ、限られた日数で旅行をしている方にとっては、待ち時間があまりにも不当に感じることがあるかもしれません。そのような時には、「このような事情で早くしてもらいたいのですが、できますか?」といった形で、こちらの立場を話しましょう。すると、相手も真摯に受け止めて、改善してくれることが多いです。
「どうしても○○を見たいから」「お腹が空いているから」「子どもが寝ているから」といった主観的な事情でもいいのです。むしろ主観的な理由の方が、相手が共感し、理解してもらいやすいことがあります。
なぜこちらの立場に立ってもらえないのか?と憤る前に、こちらの立場を伝えることが大切です。それでも改善されないようであれば、その場の責任者(ホテルのマネージャー、現地旅行会社の責任者など)に相談してみましょう。
言いたいことは、「即座に」言う
タンザニアでは、穏やかなコミュニケーションが重視されます。どんな状況でも、冷静な態度で自分の意見や気持ちを伝えることが求められます。
たとえば、誰かの行動が気になる場合や問題が生じたとき、「なぜこんなことをしたの?」と責めるのではなく、「こうした方がもっとスムーズになると思うよ」と提案型のアプローチを取ると良いでしょう。タンザニアの人々は、感情的な衝突を避けたいという文化的な背景があるため、穏やかで建設的な言葉を好みます。
また、問題を解決するためにはタイミングが重要です。後から指摘すると、相手が状況を忘れてしまいますし、まして、ずっと我慢して日本に問題を持ち帰っても何の意味もありません。不満や改善点があれば、その場で優しく伝えるように心がけましょう。
たとえば、ガイドに静かにしてもらいたい時は、「ちょっと疲れてしまったので、静かに休みたいです。」と伝えると、静かにしてくれます。むしろ気がつかなかったことを詫びるガイドもいるかもしれません。
怒りを抑えつつも、自分の意見をきちんと表現することは、信頼関係を築く上で非常に重要です。相手を尊重しながらも、率直にコミュニケーションを取ることで、タンザニアの人々とより良い関係を築くことができるでしょう。
セレンゲティで最も人気のロッジのひとつSound of Silenceのスタッフたち。元気いっぱい明るく迎えてくれた。
やってほしいことは、何度もリマインドする
タンザニアでは、「ポレポレ(ゆっくり、のんびり)」というライフスタイルが文化に深く根付いています。そのため、仕事や約束ごとがすぐに実行されないことがよくあります。しかし、これは優先順位の違いによるものです。こうした背景を理解した上で、やってほしいことを何度もリマインドすることが円滑なコミュニケーションの鍵となります。
例えば、ホテルのスタッフに特別なお願いをした場合、一度頼んだだけで実行されないことがあります。このような場合、怒ったり責めたりするのではなく、穏やかにもう一度頼むのがポイントです。「さっきお願いした件だけど、どうなったかな?」と軽いトーンで確認すると、相手も気持ちよく対応してくれるでしょう。
また、感謝の言葉を添えると、相手に良い印象を与えることができます。「何度もお願いしてごめんね」「ありがとう、助かります」と言うだけで、相手のモチベーションが上がります。
舐められないように堂々とした態度を取る
タンザニアでは穏やかでフレンドリーな人々が多い一方で、特に旅行者や外国人に対して、相手の態度を測るような行動をとることもあります。そのため、相手に誠実さと敬意を示しつつも、堂々とした態度を取ることが大切です。これにより、自分が簡単に侮られる存在ではないことを伝えることができます。
例えば、街や観光地でお土産を売り込まれた時は、はっきりと自分の希望を伝えましょう。欲しくなければ、「ノーサンキュー」とはっきりと意思を示すことが大事です。また、強引な交渉は避け、あくまでフェアなやりとりを心がけるのがポイントです。
また、相手の言動に違和感を感じた場合も、即座に意見を表明することが重要です。そのような時には特に、弱みや迷いを見せないようにします。毅然とした態度とポジティブな雰囲気は、自分を守る盾だと思ってください。
裏切り、騙し、差別があっても、自他を責めない
タンザニアでは、時には予期しない出来事が起こることがあります。観光客と現地の人々との経済格差のため、時にはちょっとした出来心が原因で問題が発生することもあります。そのような状況では、原因を深く掘り下げて考えることは得策ではありません。
雨が降るのと同じように、予測できない出来事が起きるのが現実です。それを個人的な攻撃として受け取るのではなく、冷静にその場を乗り越えることが、結果的に身を守ることになります。自分も相手も責めることなく、速やかに受け流しましょう。すでに起きてしまったことです。そのようなことは、人生において避けられないことでもあります。
なお、明らかに相手が嘘をついていたり、間違いを認めなかったりしても、相手を論破しようとしたり、正論を突き通そうとすることはあまりおすすめできません。状況にもよりますが、毅然とした態度を取りつつも、自分が外国人という法的に弱い立場であり、あくまでその国にお邪魔している身だということを忘れないでください。相手の経済的な背景や生活環境を理解し、淡々と過ごすことが、タンザニアでの健康的な滞在に繋がります。